- ●安全というプログラムツール
- 「安全」という言動から、「冒険的な活動を阻害する」という印象を受けてしまいがちですが、むしろこれを「日頃の活動を充実させてくれるプログラムツール」としてとらえたいものです。
- 活動の場における危険への対処は、@中和、A分散・希釈、B回避、の3つで、状況により「回避」を選ぶ勇気も必要ですが、なるべく積極的な働きかけで安全を保ち、活動を実現したいものです。危険の中和や希釈とは、指導者・スカウトの安全能力を向上させ、活動の難度(危険度)をその能力に合わせていくということですが、オーソドックスなスカウトプログラムの進め方がこうした危険への対処を大きく助けてくれるものだということを見直してみましょう。
- ●冒険的な活動へのニーズを生かす
- スカウトたちがたとえば「夏キャンプでカヌーに乗りたい」といい出したら、チャンスです。まず全員が泳げるようになっておこう、きちんとした漕艇法も習いたい、救急法も身につけておきたい、用具類の点検も重要だ、というようにカヌーを楽しむために準備すべきことをスカウトたちと話し合います。そうして挙げられた課題を予定に組み込んでいくことで、年間プログラムが充実してきます。もちろん個々のスカウトの進級にも繋がるでしょう。
- こうした活動では、救急法や用具の整備などでもスカウトはモチベーションを持ってより積極的に取り組むものです。そしてスカウトの安全能力が高まるにつれ活動の現場での危険の「回避」率は低下し、また指導者が管理すべき要素も減ってさらに安全の精度が上がり、結果的に活動の幅は安全に広がっていきます。だからこそ、スカウトのニーズから始めるというスカウトプログラム本来の進め方が有効なわけです。
- ●早期の計画が好循環を生む
- 多忙な隊指導者の皆さんには「活動計画書」の作成なども億劫な場合があるかと思いますが、スカウトのニーズを早期に引き出すことが指導者の負担を大きく減じてくれるものです。
- モチベーションを持ったスカウトたちにしっかりと計画書を書かせ、彼らと一緒に見直しながら安全面も詰めていき、早めに団委員会に回します。団委員会でたとえば「もうー人安全管理者が必要だ」となれば、その一人を見つけるのに団委員会の支援が得られますが、好施直前のチェックではそうもいきません。そして万一事故があった場合でも、団委員会できちんと計画書に目を通してもらっていれば、それは隊長一人の責任ではなくなりますし、何より「より多くの目で見る」ことで、より多くの潜在危険を事前に発見・解消できるという実質的な安全の向上が大事なのです。
- また、野外活動で欠かすことができない現地下見の日程や、雨天時の代替プログラムの立案などにも余裕を持って当たることができます。事故は下見の不足や急なプログラム変更などの際に起こりがちですから、この点のメリットも非常に大きいのです。そして状況に応じた代替プログラムに楽しいバリエーションを持た早ておくことができれば、「回避」を選択する際にも、潔い決断ができるという強みを持つことができるわけです。
- 安全管理に限らず、スカウトのニーズから始まる早めの計画書作成は何かと隊指導者の負担を軽くしてくれることになるのです。
- ●スカウトプログラムのすばらしさを活用する
- このように、スカウトたちが自ら年間プログラムを立案し、夏の最盛期に向けて1年間様々な準備を行っていくというスカウトプログラム本来の進め方は、「目標達成」という大きな収穫をもってスカウトの自主性をさらに育て、より冒険的な活動の可能性を広げていくというすばらしいものです。
現代の多忙な子どもたちでは、班運営が思うようにいかないといいます。しかし、多忙な時間を割いて参加するスカウト活動だからこそ、彼らにとってより充実した、得るものの多い機会でなければなりません。
- まずはスカウトたちが「やりたい」と思うことを、彼らから引き出すこと。なかなか容易なことではありませんが、これこそが多忙な指導者各位にとっても、最大の力の入れどころであり、また活動の安全を守るための最善の策でもあるのです。
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