日本ボーイスカウト茨城県連盟
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県連情報

危機管理について

 

 

1. 事故と危機管理

 楽しく魅力あるスカウティングは、野外での活動によってもたらされるものです。スカウトにとって「楽しく」「魅力ある」冒険的なものであればあるほど、実は危険の要因も大きくなっていきます。

 スカウティングは「教育活動」ですが、知識を伸ばす学校教育とは違い、野外を中心に楽しみながら活動することで自ずと社会や人生で役立つ技能や資質が、身につくよう組み立てられているので、事故を起こさないための「安全管理」と、事故が起こってしまった場合の速やかで適切な対応の「危機管理」について、指導者として十分な知識と技能を持っていなくてはなりません。

 そもそも、危機管理がされていないスカウト活動はあり得ません。あらゆるスカウト活動は危機管理があって初めてできるものだということを認識してください。

 

 スカウト活動では、スカウトを指導する指導者自身が、野外活動に習熟していることが基本です。しかし、「習熟」と一言で言いますが、どんなベテラン指導者が指導したとしても、時には、事故は起こってしまうものです。事故を100%起こさないためには、どうしたらいいでしょうか。それは、その活動を行わないことです。しかし、それではスカウト活動になりません。スカウト活動は、リスク(危険)を乗り越えること(チャレンジ)によって、自分自身を高めていく活動でもあるからなのです。

 また、指導者に求められることは、野外活動の習熟だけではありません。例えば、社会見学で「郷土資料館」に行ったとします。その活動で次の様なことが起こるかもしれません・・・・

 

  • スカウトの列に車が突っ込んでケガをした。
  • スカウトがふざけて車道にはみ出して車に接触してケガをした。
  • はみ出したスカウトを避けようとして車が急ハンドルを切ったためにガードレールに接触して車を壊した。
  • スカウトがふざけて他の人にケガをさせた。
  • 資料館の展示物をスカウトが破損させた。

 

このようなことが起こったら、

 

 あなたは、まず何をしますか(しなければなりませんか)?

 これら一つ一つに対応できますか?

 対応マニュアルを持っていますか、熟読していますか?

 対応できるように研修を受けたことがありますか?

 

 これら一つ一つには、引率する隊長の責任と、その活動を許可した団委員長の責任が問われるのです。このようにスカウト活動は危機管理が背景に無ければできないようになっています。

 スカウトの活動では、事故を起こさないための安全管理を行われていることが大前提です。しかし、事故が起こってしまったときに、具体的にどのように対応するかを指導者一人ひとりが理解していなければ、それは片手落ちです。

 1人の指導者が安全を管理できる範囲はそれほど多くありません。そして、危機管理では1人だけで対応することは難しいでしょう。ですから、指導者はチームとして行動し、対応することとが重要なのです。

 それでは、チームの一員として、安全そして危機管理にどのように関わっていくのか考えていきましょう。

 

 

2. 事故ってなに?

 「事故」とは、危険要因を排除できずに、その危険が顕在化して表れ、自分または他の人の身に生じてしまったアクシデント・・・をいいます。

 一般的には、予期していなかったのに、人の身体が傷ついたり生命が失われたり、あるいは物が損傷したり財産に損害が発生するような出来事のことも「事故」といいます。

 では、世の中で起こっている「事故」にはどんなものがあるでしょうか。また、その中でボーイスカウトの活動で起こりうる「事故」にはどんなものが予想されるでしょうか。

身近な活動のキャンプを想定してみると、刃物によるもの、毒虫、落雷、土砂災害、火傷、食あたり、骨折・捻挫等が考えられますし、ハイキングでは、ミスコース、捻挫、滑落、遭難、交通事故等が考えられます。いずれも、簡単に思いつくものばかりです。

 

いかがでしょうか?

安全ばかりに目が行ってしまって、これらに対する具体的な対策は疎かになってはいませんでしたか?

 

 

 

3. 万一、事故に遭ったとき

 

 万一、スカウト活動で事故に遭ってしまった(起こしてしまった)場合には、どのよう対応したらよいのでしょうか。下記に例を挙げますので、手順を追ってみていきましょう。

 ◎安全教育、安全対策、安全管理、

     ・必要な知識と技能の修得と習熟。

     ・実施前の確認の励行。必要装備品の携行。

     ・使用上、実施上の注意の確認・周知と共通理解。

  ○指導者の連絡体制の構築、救急連絡先等の確認。

  ○必要装備品の携行と使用法の習熟(救急箱含む)。

 ○被害拡大の防止。

 ○ケガをしたスカウトへのケア

 ○他のスカウトの安全確保とケア

 ○事実・状況の把握

 ○救急車の要請

 ○状況経過報告

 ○隊長から団への報告

 ○団からの次に連絡

  ・当事者の保護者、他の保護者、地区コミッショナー等

 ○事後対応(直後)

  ・他スカウトの保護者に連絡し迎えを要請。

  ・他のスカウト及び保護者への報告

 ○事後対応(保護者会での説明)

  ・間を置かず保護者会を開催し、事故の説明と対策を説明。

これはあくまでも一般論ですから、順序も含めて、実際にはこのようにいかないことの方が多いと思われます。ですが、この項目を知っているか知らないかで、現場での対応に大きな差が出るだけでなく、後々の賠償問題や責任問題に大きく影響してきます。