日本ボーイスカウト茨城県連盟
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県連情報

団への支援

 

 

 日本連盟の加盟員は、数字上では毎年6,500〜7,000名が減少しています。数字の上では、7,000人の減少だとしても、実際には新規加入者が16,000人程度いますので、退団したスカウトは何と、23,000人にもなります。

 辞めたスカウトの中で、ビーバー、カブスカウトの比率が高く、約60%を占めています。しかも、その半分以上がビーバースカウトなのです!!!

 

 中途退団あるいは上進しないスカウトへの対策として、まず、ビーバー,カブスカウトに焦点を当てなければなりません。ビーバースカウトではプログラム、カブスカウトでは、プログラムに加えてボーイ課程への上進が退団のきっかけ・要因になっているようです。

 それを裏付けるデータとして、退団したスカウトや保護者からのアンケート調査したところ、以下のような意見が出てきました。(スカウト活動をやめた本当の訳とは・・・)

 

1 プログラムへの不満

  • 子供会との差異がない。
  • プログラムのレベルが低い、新鮮味がない。
  • ワクワク・ドキドキ感がない。
  • 少年の心に訴えるものがない。

2 指導者への不満

  • スカウティングに期待した特長が見えてこない。
  • 指導者としての適性(主に信頼感)に疑問。
  • 指導者全体の技能レベルが低い。
  • 時間の使い方にメリハリがない。
  • 子供たちとの関係にもけじめがない。

3 組織への失望感

  • 理念と現実とのギャップが大きい。埋める意識が見えない。
  • 活動方針が明確でない。目標・目的が見えてこない。
  • 奉仕の強要が多い。
  • 費用対効果が見えてこない。

 

です。このように、退団の多くは、保護者の期待に応えられていない、失望にあります。つまりスカウティングに価値が見い出せないため、どんどん辞めているのです。

 今の世の中には、子供達を伸ばすための活動や機会は、他にもたくさんあります。ボーイスカウトは単なる選択肢のひとつになり下がってしまったのです。いくら我々が「良い運動だ」「子供の将来に確実に役立つんだ」と叫んだところで、その団・隊そのものの「プログラムに不満」「指導者に不満」「組織に不満」があったら、そこに留まる理由は見あたりません。その結果が今の団の姿なのでしょう。

 皆さん、どう思われますか?

 皆さんが、スカウトの親だとしたら、この様な組織・団体に子どもを預けますか?

 

 今、それぞれの団が、危機感を持って真剣に取り組まないと、ボーイスカウト運動はごく近い将来には成り立たなくなります。団委員長や指導者、地区役員や県連役員がいくら「何とかしなきゃ」と喚いたところで、解決策もなく責任を押しつけ合っている限り、何も解決しません。その間にもどんどんスカウトは辞めていき、ひとつ、またひとつ団がなくなっていきます。

 今やるべきことは、各団が本気になって、背水の陣で新規募集や、退団防止策・・・いや、団の指導者全員の意識改革に取り組むことです。それしかありません。スカウトのモットーは「そなえよつねに」です。それは「今すぐ行動する」、「まず、動く」そう実践躬行です。団の統廃合はその後に考えることです。団運営ができない団が集まっても、一時的に良くなった・・・と見えるだけで、問題の本質は解決していないのです。

 そのために、日本連盟は「この運動が求める指導者」を育成すること、今いる指導者にも「変わること」を求めて、指導者養成を見直し、新訓練体系を実施していくこととしたのです。

 

 「1.プログラムへの不満」「3.組織への不満」を解決するには、まず、指導者(団指導者・隊指導者を含む全ての指導者)の意識を変える、つまり「チェンジ」することから始めなければ、達成どころか、スタートにも立てません。

 

 その対策の1つが「標準団を目指す」ことです。

 

「標準団」は、ボーイスカウトの団の最も健全で基本的な姿です。それを目指すことは大切なことでしょう。団委員長が、これを団の方針だと打ち出しても、誰も文句は言えないハズです。それだけ説得力のある重い目標なのですよ。
 一般に「標準団」というと、5つの全ての隊が揃っている団というイメージが強いのですが、それはあくまでも「入れ物」のことであって、問題はその中味です。

 

 では、標準団とは何か、というところから話を始めましょう。標準について教育規定を見ていくと・・・

 

●団委員会

  • 育成会によって団が設立され、団委員会が組織されていること。 (規程3-3)、
  • その育成会によって、団委員が選任されて いること。1個の隊のときは3人以上、2個隊以上は5人以上の団委員を選任して いること。(3-8)

●隊

  • ビーバースカウト隊、カブスカウト隊、ボーイスカウト隊、ベンチャースカウト隊、ローバースカウト隊の各隊で構成されていること。(3-16)
  • ビーバースカウト隊は、ビーバースカウト10人から20人程度で構成する。(3-16)
  • カブスカウト隊は、カブスカウト6人よりなる組、4個をもって編成されている。(3-27)
  • ボーイスカウト隊は、ボーイスカウト8人からなる班、4個をもって編成されている。(3-46)
  • ベンチャースカウト隊は、ベンチャースカウト3人以上、20人程度で編成されていること。(3-63)
  • ローバースカウト隊は、ローバースカウト3人以上、最大30人程度で編成されていること。(3-75)

●団・隊指導者

  • 隊長・副長が団委員会により、有資格者から選任・任命されていること。(複数規程)
  • 隊長は、指導者基礎訓練課程の訓練を修了していること。副長は指導者導入訓練課程を修了していること。(複数規程)
  • 団・隊指導者の任命にあたっては、「指導者養成に関する指針」に示される内容に則していること。
  • 団委員長は、団委員上級訓練課程の訓練を、副団委員長や団委員は、団委員基礎訓練課程の訓練を修了するよう努めていること。(3-14)

●その他

  • 団委員長は、団の訓育及び教育に関する事項を協議し、推進するため、団内各隊の隊長及び副長による団会議を開催していること。(3-15)

 

・・・と規定されています。これ以外にも日本連盟教育規程に細かく定められています。

 通常「標準団」というと、全ての部門の隊が揃っていることだけの様に思ってしまいますが、組・班数や団委員会や指導者の資質や資格にまで及んでいるのです。

 

 

 では、どうしてこの「標準団」を目指さなくてはならないのでしょうか。

 現在、茨城県連盟においては「標準」を満たしている団は残念ながらありません。それでも、ちゃんと?スカウティングをができている?ので、「まぁ、目指さないよりは目指した方がいいよなぁ・・・」と他人事の様に思っている方も多いのではないでしょうか。

 しかし、「標準」という言葉をよくよく考えてみると、「標準」とはそれが当たり前の団の姿だということなのです。もっと突き詰めて言えば「全てのスカウトには、標準団における標準のスカウティングが提供される」ということなのです。そう、提供することが団のつとめなのです。それを求めて保護者はこの運動を選び、スカウトは「ちかい」をたて、加盟登録料等を納入しているのですから。

 

「えっ!」

 

‥‥これはエライことです。こんな解釈を聞かされるのは、皆さん初めてでしょう。でも、改めてこう言われると、「そうだよなぁ!」と納得もしてしまいます。

 基礎訓練や上級訓練を修了された方は、「班制教育(班制度)」や「進歩制度」「野外活動」という言葉の意味や機能をご存知でしょう。最近では「スカウト教育法の7つの要素」とと言われていますが。実は、これらを本来あるきちんとした形で団がスカウトに提供することが、昔から求められており、団はそれを満たすべく、最大限の努力をすることがあたりまえだったのです。それがいつの間にかに崩れてしまいました。その「団のつとめ(Duty:責務)」をもう一度県連を挙げて組織的にきちんと取り組んでこうということです。

 

 どうしたらいいのでしょう?

 まず、今まで団でやってきた方法は捨てましょう。

 新たに、団の運営方法、隊のプログラム、保護者との支援・信頼関係を構築するために、スクラップ&ビルドです。建て増しやリフォームではありません。基礎からぶっ壊して建て直すのです。(ちょっと過激ですが・・・)

 どうして「ぶっ壊す」必要があるのでしょうか?

 それは、組織に属する人であったならば、どうしてもその組織に何らかの愛着なり拘りを抱いています。どんなに今の組織がダメで立て直さなければならないと思っている人であってもです。その思いは、一人ひとり皆違っています。それはそれで大切なことなのですが、団を再建するに当たっては、思わぬところでその思いが再建の妨げになってしまうからです。

 団を再建するに当たっては、団の新しい構想、方針、組織作り、指導者の体制など、多くの議論や協議を重ねて統一見解を得た上で、コトに当たっていかなければなりません。しかし、一致団結してそれを推進していったとしても、方向は一致していても、やり方や達成目標、派閥?など、それに関わる人それぞれの思いは決して一致はしていません。微妙に、いや結構違うものです。そんな人達が集まって団を再建するのですから、取り組みのちょっとした凸凹に遭遇したときに、つい「前はこうだった」「この方がいいに決まっている」などの言葉が出て来てしまうのです。だれかがそれを口にしてしまうと、他の人も「いや、こーだ!」「いやいや、あーだ!」と噴出し収拾が付かなくなって、頓挫してしまったり、空中分解してしまうことも起こります。

 ですから、そうならないように「ぶっ壊す」のです。あ、団を完膚無きまでに全てをぶっ壊すのではありませんよ。今まで団や隊を運営してきて「スカウトの減少」を招いた要因、そしてそうしてしまった今までのやり方をぶっ壊すのです。同じ轍を踏まないために敢えてそうするのです。そして、スクラップ&ビルドと言うことに対しては、口が裂けても文句も愚痴も言わないと誓うのです。そこから始めましょう。

 では、どこに向かって、何を頼りにビルド(再建)していけばいいのでしょうか。
 まず、必ず遵守しなければならないことは「日本連盟教育規定」に従うということです。そして、そこに掲載されているいろいろなこと、例えば、先に述べた「標準」に関する記述や、そもそも論であるボーイスカウトの位置づけや在り方、団や隊を運営するための仕組み、スカウト教育の方法などを十分な研究・理解してそれを実践することです。教育規定に書かれているのは、あくまでも大原則ですから、団や隊の個々の環境に適合しないところもあるでしょう。ですが、まずは教育規定に従い、その上で団や隊の適合させます。

 続いて、団の運営やそれぞれの隊の運営について、団の運営であれば「団の運営と団委員会」、隊であればそれぞれの「隊長(リーダー)ハンドブック」を精読し、共通理解を図った上で、方向を見いだしていくことです。この作業をしていくと、どうしてもそれらの参考書籍だけでは足りなくなります。その場合は、日本連盟からも多くの書籍・資料が出されていますから、それを繙いてください。日連のホームページからもダウンロードできます。

 それらを以て、これからの自分たちの団や隊の在り方を、全ての関係者によって議論し、作り上げて行きましょう。人数が多すぎるときは、代議員制で代表を選んで、その人に託してもいいでしょう。

 

 その途中で、必ずコミッショナーに客観的な見地からアドバイスを求めましょう。
 地区には、正副地区コミッショナーや団担当コミッショナーがいます。それぞれのコミッショナーは、団や隊運営の評価するという任務を持っています。つまり、評価するためのポイント、言い換えれば改善するためのポイントを知っているのです。そのポイントと現状、もしくはこれからの方向性を照らし合わせることで、目指すべき方向が明確になっていくことでしょう。

 

・・・と、ここでは団の再建というシーンから、コミッショナーの支援の在り方を説明しましたが、コミッショナーは直接手を出して改善をする・・・ということは原則しません。改善をするのは皆さんです。コミッショナーの任務は、あくまでも支援することです。支援とは、相談に乗ったり、アドバイスをしたりして、方向を打ち出す手助けをすることです。

 これは、団や隊の皆さんの味方的位置づけですが、そうでない時もあります。それは、コミッショナーは、団や隊が教育規定から甚だしく逸脱した運営を行っていて、改善勧告(これもコミッショナーの任務のひとつ)に従わない場合には、団の活動を停止する権限も持っています。